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むちうち|交通事故後遺症等級認定のご相談 

むちうちの後遺障害認定

むちうちの後遺症認定(後遺障害申請)時の検査、等級認定確率、14級と非該当の差、後遺症認定の方法等頚椎(頸椎)捻挫、腰椎捻挫に代表される目に見えづらいむちうちの後遺症を立証し自賠責保険後遺障害として認定していただくためのページです。






このページの内容



むちうちの呼称例 


等級認定審査は非該当・14級・12級


頚腰神経と臨床症状の例


むちうちの後遺症認定検査の例 


認定には症状の整合性が重要


後遺障害認定確率


12級と14級、非該当の差(11項目) 


むちうちの後遺症認定方法(10項目)





むちうちの呼称例

頚部
頚椎(頸椎)捻挫・頚部挫傷・外傷性頚椎症・外傷性頚部症候群、ヘルニアがある場合は頚椎椎間板ヘルニア、頚椎椎間板症・頚腕症候群等

腰部
腰椎捻挫・腰部挫傷・外傷性腰椎症・ヘルニアがある場合は腰椎椎間板ヘルニア
※腰部(腰椎捻挫等)はむちうちの定義からはずれますが、便宜上同じ扱いをします。

※頚腰部捻挫の周辺疾患(バレーリュー症候群、肩関節周囲炎、脊柱管狭窄症、頚椎後縦靭帯骨化症(OPLL)、胸郭出口症候群、脊髄中心性損傷、脳脊髄液減少症)については頚腰部捻挫の周辺疾患も合わせてお読みください。





等級認定審査は非該当・14級・12級

自賠責保険ではむちうちの後遺障害等級は「非該当」か「14級9号:局部に神経症状を残すもの」または「12級13号:局部に頑固な神経症状を残すもの」のいずれかで審査されます(13級は基準にあてはまりません)。

むちうちの被害者が訴える症状は、頚部痛、項部痛、シビレ感、脱力感や、重苦しさ、めまい、頭痛、耳鳴り、易疲労感、視力低下、複視等、様々ありますが、審査はこれら各症状を合わせて神経系統の機能障害・精神の障害として取り扱います(例外あり)。



12級と14級、非該当の認定基準

12級と14級の違いですが、自賠責保険の実務では12級は「神経系統の障害の存在が医学的、他覚的に証明できるもの」とされ、14級は「神経系統の障害の存在が医学的に説明可能なもの」あるいは「医学的に証明できなくても自覚症状が故意の誇張でないと医学的に推定されるもの」という考え方が採用されています。





この医学的推定や、医学的証明をする際に必要なのが、いわゆる他覚的所見です。他覚的所見とは「被害者本人の自覚症状以外の、医師らが客観的に認識できる所見のこと」ですが、一言で他覚的な所見といっても、画像からわかる椎間板の膨隆、ヘルニアや脊柱管の狭窄等の身体の形状的異常から神経学的検査でわかる所見まで、様々あります。



画像所見の例 X-P(レントゲン)・MRIなど

ストレートネック(生理的前湾消失)、椎間孔狭小、椎間板腔狭小、骨棘形成、脊柱管狭窄、椎間板の膨隆(ヘルニア)、硬膜嚢圧排、椎間板変性、脊髄空洞その他


ストレートネック(生理的前湾消失)
頚椎の生理的前湾角度が30°以下の状態です(正常とされている範囲は30~40°)。首の生理的なカーブが失われていき、頚椎が直線(ストレート)に近くなっている状態です。

慢性的なうつむき姿勢(近年ではPCやスマートフォンの長時間にわたる操作など)によって起こると考えられ、等級認定審査においては重要視されません。

椎間孔狭小
椎間孔(末梢神経の通り道)が狭くなっている状態です。

椎間板腔狭小
椎間板腔(椎間板同士の厚みからできる隙間部分)が狭小している状態です。

骨棘形成
頚椎などの骨の一部が棘(トゲ)状になっている状態です。

脊柱管狭窄
脊髄が通っている脊柱管が狭くなっている状態です。

椎間板の膨隆(ヘルニア)
椎間板の線維輪(センイリン)と呼ばれる部分が断裂して、ゼリー状の髄核(ズイカク)と呼ばれる部分が、はみ出している状態です。

硬膜嚢圧排
硬膜の袋(袋の中に脊髄や神経を包んでいる)が骨や靭帯、椎間板等によって圧迫されている状態です。

椎間板変性
椎間板が変性して柔軟性がなくなっている状態です。

脊髄空洞
脊髄の中に水がたまって、ちくわの様になっている状態です。


上記の様な画像所見の原因の多くは、交通事故によって突然発生するものではなく、日常の生活習慣(姿勢等)の様々な要因、元々の身体的特徴や加齢によって生じる変性の域を出ないことが多く、基本的には交通事故によって発生した外傷性の異常では無いと判断されてしまうため、画像から上記の様な所見が確認できても、ただちに等級認定に直結するわけではありません。

しかし、このような所見は被害者が訴える症状の原因の推定材料として使える場合があるので非常に重要です。また画像以外にも、むちうちの他覚的所見は数多くあります。

むちうちの症状に大きく影響するとされている頚部、腰部の神経と臨床症状、後遺障害申請の際に他覚的所見として使える画像検査や神経学的検査などの詳細は下記のとおりです。



頚腰神経と臨床症状の例(むちうちの後遺障害)

頚椎・腰椎神経支配領域の例   
神経根 頚椎圧迫等のテスト 知覚 筋力 反射
C5 項部の基部、肩、上腕の外側の痛み 三角筋部にあることも 三角筋、棘上筋、棘下筋,
また上腕二頭筋、腕橈骨筋に及ぶことも
上腕二頭筋
C6 手の橈側と母指への痛み(放散) 母指、手の橈側の背外側の抹消部  上腕二頭筋、上腕筋、腕橈骨筋、三角筋や手根伸筋に及ぶことも 上腕二頭筋、
ときには三頭筋、腕橈骨筋
C7 示・中指と手の背側への痛み、しびれ とくに中指と手背の遠位部  上腕三頭筋、前腕全体、指や手関節屈筋群などに及ぶことも 上腕三頭筋
C8 上肢内側の尺骨神経領域 C7と重なることが多い  手の固有筋 正常のことが多い
L4 ラセーグ兆候、FNSテスト陽性等 大腿前面・下腿内側面 大腿四頭筋・前脛骨筋等 膝蓋腱
L5 ラセーグ兆候等 下腿前外側・足背側  長母趾伸展筋・大殿筋等 アキレス腱
S1 ラセーグ兆候等  下腿後面・足背側・足底外縁  腓腹筋・腓骨筋等 アキレス腱




むちうちの後遺症認定検査の例

他覚的所見を得るための検査には以下のようなものがあります



単純レントゲン

骨傷の有無を確認するために通常初診時に行われます。頚椎の前彎消失や後縦靭帯骨化症の有無を確認するためには有用とされます。



MRI(磁気共鳴撮影法)

軟部組織の抽出に有効です。むちうち症の場合、MRIの画像所見は経年性のものが多く、例えばMRIでヘルニアが確認できたというだけでは等級認定されません。

しかし、このような所見は自覚症状の原因を推定する際の材料として使える場合があるので非常に大切です。



ポジトロンエミッション断層撮影法
(PET、Positron Emission Tomography)
シングルフォトエミッションCT
(SPECT、Single photon Emission Computed Tomography)

共に放射性薬剤を用いて断層画像を撮影します。むちうちの場合、脳症状(認知障害、集中力低下等)を訴える患者に対して行われることがあります。



頚部:スパーリングテスト(Spurling test)

頭部を圧迫することにより神経根の出口(椎間孔)を狭めることによって神経根の障害を確認するテストです。

スパーリングテストは頚椎を症状側に後側屈させます。神経根に障害がある場合は、その支配領域の上肢に疼痛、シビレ感の放散を生じます。(陽性+・陰性ー)



頚部:ジャクソンテスト(Jackson test)

頭部を圧迫することにより神経根の出口(椎間孔)を狭めることによって神経根の障害を確認するテストです。ジャクソンテストは頚椎を後屈させ、軸方向に圧を加えます。

神経根に障害がある場合は、その支配領域の上肢あるいは下肢に疼痛、シビレ感の放散を生じます。(陽性+・陰性ー)



頚部:ショルダーデプレッションテスト(shouleder depression test)

神経根の障害を確認するテストです。肩を下方へ押し下げ、頭部を反対側に倒します。



腰部:バレーサイン(Barre sign)

臀部を圧迫して圧痛、放散痛の確認をします。



腰部:疼痛性側弯

坐骨神経痛への防御反応による機能的側弯が生じているかを確認します。



腰部:ラセーグテスト(Lasegue)、
SLRテスト(straight leg raising test)

あおむけの状態で膝を伸ばした状態で片足を挙げていきます。L5、S1の神経障害を確認します。70°以下を陽性とし、角度を記入いただきます。



腰部:FNSテスト(femoral nerve stretch test)

うつ伏せに寝た状態で臀部を固定して膝を曲げた状態(患側下肢の膝を90°)から、医師が膝を持って大腿を持ち上げながら股関節を伸ばすように持ち上げます。L2・3・4の神経障害を確認します。



腰部:ケンプテスト(Kemp test)

体幹を患側に側屈させつつ過伸展させ、臀部や下肢への放散痛を確認します。



徒手筋力テスト(MMT・manual muscle testing)

医師が抵抗を加え、それにどの程度対抗出来るかを調べ、5・4・3・2・1・0の6段階で判定します。神経障害部位によって筋力低下の部位が異なります。


頚部 三角筋、上腕二頭筋、上腕三頭筋、手関節伸展筋、小指外転筋など。 
腰部  腸腰筋、大腿四頭筋、膝関節屈筋群、下腿三頭筋、長母趾伸筋、前脛骨筋など。 
5(normal)  強い抵抗下で重力に対して、可動域内を動かせる 
4(good)  かなりの抵抗下で重力に対して、可動域内を動かせる 
3(fair)  重力に対して、可動域内を動かせる 
2(poor)  重力を除くと、可動域内を動かせる 
1(trace)  筋肉の収縮のみで関節の動きはない 
0(zero)  筋肉の収縮がない 




筋萎縮検査

神経根の圧迫、損傷による筋の萎縮を調べるための検査です。神経根圧迫、損傷による筋委縮が認められた場合、有力な他覚所見の一つとなります。

頚部:上腕部と前腕部の周径を計測します。

腰部:大腿と下腿の周径を計測します。



知覚テスト

皮膚表面の触覚、皮膚の痛覚の状況を確認します。

正常・感覚鈍麻(hypesthesia)・感覚脱失(anesthesia)・感覚過敏(hyperesthesia)の4段階または正常他部位を10とした場合の患側の感覚を1~10で確認します。



深部腱反射(reflex)

腱を叩くことにより、生理的な反射(筋収縮)の状況を調べるための検査です。

(亢進++・正常+・低下±・消失ーの4段階)両側性に亢進や低下がある場合は病的意義と捉えられないこともあるため、必ず両側を比較して左右差を確認します。

頚部:上腕二頭筋反射・腕橈骨筋反射・上腕三頭筋反射など。腰部:膝蓋腱、アキレス腱など。



病的反射

病的反射は、通常、健常者には現れないとされる反射です。中枢神経系の障害により出現するとされています。

医師が患者の指先をはじいたり、足関節を背屈させたりして反射を確認します。(陽性+、陰性ー)

病的反射の例

ホフマン(Hohhmann)  中指を上から下にはじく→他の指が反射的に屈曲する。 
トレムナー(Tromner)  中指を下から上にはじく→他の指が反射的に屈曲する。 
ワルテンベルグ(Wartenberg)  手指掌側をハンマーでたたく→手指が屈曲する。 
バビンスキー(Babinski)  足底部の外縁を刺激→足指(特に親指)が背屈し、指が開く。 
クローヌス(clonus)  (足)は他動的に足関節を急激に背屈→足関節が律動的に背屈、底屈運動をする。 (膝)は他動的に膝蓋骨を下方に急激に押す→律動的に上下に運動する。


病的反射は健常者でも出現してしまう場合があるので、他の検査との兼ね合いなどから総合的な判断が要されます。



10秒テスト

10秒間グーとパー(全指を完全に伸展させる)を繰り返し手指巧緻運動の障害を調べます。



関節可動域(ROM)

日本整形外科学会および日本リハビリテーション医学会により決定された「関節可動域表示ならびに測定法」が用いられます。

屈曲(前屈)、伸展(後屈)、側屈(左屈・右屈)、回旋(左回旋・右回旋)


むち打ち頚椎可動域屈曲・伸展   むち打ち頚椎可動域回旋    むち打ち頚椎可動域側屈

腰椎可動域屈曲伸展   腰椎可動域回旋    腰椎可動域側屈


※むちうち(頚椎捻挫や腰椎捻挫など)による運動制限は、器質的変化(細胞や組織が変形、変性あるいは破壊されて、元の形態に戻らないような変化)による可動域制限ではないため自賠責保険では後遺障害として評価(認定)されません。

労災では参考にされることもあります。



針筋電図検査

麻痺が頚髄(神経根)由来のものかを検査する目的です。目的の筋肉に針電極を刺入し、筋を収縮させたりして、骨格筋の運動単位を分析し、波形を記録します。

これにより、神経原生の麻痺が認められた場合は、有力な他覚所見のひとつとなる場合があります。



サーモグラフィー検査

体表の温度分布を非侵襲的(痛みや危険を伴わないこと)に測定できます。感神経系を中心とした神経系機能を反映するので、疼痛やシビレ部位と一致した低温域が出現すれば補助診断とすることができます。



指尖容積脈波(シセンヨウセキミャクハ)検査

指に赤外線をあて、指先への血液の流入による容積の変化をとらえます。血流障害の立証に有用とされます。



電気眼振図(ENG)

眼振計を用いての電気眼振図の記録は眼球運動を記録として保存でき、めまい症状を他覚的に評価出来る場合があります。しかし、一般的検査としてはあまり普及していません。



これら以外にも

これら以外にもむちうちの検査はありますが、全ての検査が必須というわけではありません。むちうちの後遺障害を申請するにあたり、必ず実施しておきたい検査は以下のようなものになります。

頚椎捻挫等の頚部由来の症状であれば、スパーリングテスト、ジャクソンテスト、腰椎捻挫等の腰部由来の症状であれば、ラセーグテスト、FNSテスト、共通してレントゲン・MRI・徒手筋力テスト(MMT)、知覚テスト、腱反射テスト、関節可動域(ROM)、これら以外の検査は被害者の症状や治療状況により、それぞれ検討する必要があります。





認定には症状の整合性が重要

上記のむちうちの検査で異常所見がある場合に、即座に認定に有利な他覚的所見となるかというと、自賠責保険の実務では必ずしもそういうわけではありません。

14級09号の認定には、症状に医学的な説明(推定)ができることが条件となりますが、上図、神経支配領域の例のように、頚部・腰部の神経は上から下までつながりがあり、支配領域が異なるため、整合性のない神経の異常所見は医学的に説明がつかなくなるということです。

後遺障害の審査はあくまでも自覚症状、画像所見、神経学的検査、その他の検査や事故発生状況、治療状況等を総合して勘案しての判断です。

検査等である程度の異常(陽性)所見がある場合でも、整合性が認められなかったり、被害者がその所見からは推定できないような、広範な身体部位の症状を訴える場合などは、かえって医学的な説明がつかず、非該当と判断されてしまうので、注意が必要です。




むちうちの後遺障害認定確率

むちうち損傷が後遺障害として認定される正確な確率というのはわかりませんが、公表されている後遺障害認定件数の統計では以下のようになっています(平成28年3月時点)。

平成26年度の後遺障害事案全体の調査件数は約10万5,125件、そのうち支払いのあった件数は6万2,305件(つまり1年間で後遺症申請した被害者約4万2,800人以上が非該当等の理由から自賠責の後遺障害として支払いを受けられていない非常に厳しい状況です)。

この数値から更に、むちうちでの後遺障害認定件数について考えます。上記統計の認定件数約6万2,305件の内、3万6,639件が14級案件全体の認定とされています。

しかし、14級の認定が全てむちうち案件というわけではありませんので、むちうちでの後遺障害認定件数は更に低くなります(14級には1~9号まであり、むちうちの神経症状は14級9号にあてはまります。さらに14級9号の中にも、むちうち以外の様々な神経症状が含まれるためです)。




むちうちの12級と14級、非該当の差

後遺障害を申請するにあたり、どのような(どの程度の)症状であれば認定されるのか、というご質問をいただくことが多いです。

上記のとおり、いわゆるむちうち損傷の場合、12級、14級、非該当で審査されますが12級の認定はMRI画像上の神経根の明確な圧迫、その他の検査で症状が外傷性として他覚的に証明されていると調査事務所が認めた場合です。症状として腕や足の筋肉の萎縮等が伴う場合もあります。

問題は、14級と非該当の差です。目に見えにくい後遺症で14級が認定されるかどうかという状況にいる被害者の場合、症状の程度を書面で医学的に伝えるということは大変難しいものです。

というのも、上記の様に症状の程度の目安として神経学的検査などありますが、むちうちの被害者の場合、画像や神経学的には明らかな異常が無いことも多いからです。

しかし、画像や神経学的には明らかな異常所見が無い場合でも、後遺障害として14級が認定されることはあります。

この時重要なのは受傷機転、治療状況、症状経過等を総合的に勘案したときに、症状を自分以外の第三者(調査事務所や医師)に医学的に説明(推定)可能な故意の誇張ではない症状として認めてもらえるか?という点になります。



以下はむちうちで14級が認定された場合の自賠責保険の回答です。

<結論>
自賠法施行令別表第二14級9号に該当するものと判断します。

<理由>
~等の症状については、提出の頚部(腰部)画像上、(経年性の変性所見は認められるものの)本件事故による明らかな外傷性変化は認め難く、その他診断書等からも自覚症状を裏付ける客観的な医学的所見に乏しいことから、他覚的に神経系統の障害が証明されるものと捉えることは困難です。しかしながら、治療状況等も勘案すれば、将来においても回復が困難と見込まれる障害と捉えられることから「局部に神経症状を残すもの」として別表第二14級9号に該当するものと判断します。

なお、頚椎部の運動障害については、提出の画像上、その原因となる頚椎の骨折、脱臼等は認められないことから、自賠責保険における後遺障害には該当しないものと判断します。


次にむちうちで非該当の場合の自賠責保険からの回答です。

  <結論>
自賠責保険における後遺障害には該当しないものと判断します。

<理由>
~等の症状については、提出の頚部(腰部)画像上(経年性の変性所見は認められるものの)、本件事故による明らかな外傷性変化は認め難く、その他診断書等からも自覚症状を裏付ける客観的な医学的所見に乏しいことに加え、症状経過、治療状況等も勘案した結果、将来においても回復が困難と見込まれる障害とは捉え難いことから、自賠責保険における後遺障害には該当しないものと判断します。

なお、頚椎部の運動障害については、提出の画像上、その原因となる頚椎の骨折、脱臼等は認められないことから、自賠責保険における後遺障害には該当しないものと判断します。


この2つの回答文書を比べると、大きな違いは赤字部分です。この部分がむちうちの後遺障害14級認定と非該当の違いなのです。

(下段の「なお、頚椎部の運動障害~後遺障害には該当しないものと判断します」の部分は、今回の認定は首や腰の可動域制限での認定ではないという意味です。

骨折や脱臼が無ければ可動域制限での認定はありません。この文章があっても結論部分を確認すればわかるように14級は認定されております)

この赤字部分が何を意味するのか、明確な基準は公表されておりませんが、主な非該当事例としては以下の11項目に大別されます。




むちうちの非該当事例11項目


1.通院実績、治療経過で非該当

後遺障害の認定は一定期間治療(実務上6ヵ月以上と周知)を継続して、症状固定となった時に残存した症状に対する補償となります。

大前提として受傷直後から症状固定までの間、医師による継続的な診察(少なくても月に1回程度の症状経過の確認)が必要です。

また継続的な診察に加えて継続的な通院治療(いわゆるリハビリ)実績も重要です。認定審査は書面主義なので、書面による記録で症状を判断します。

事情がどうであれ通院日数(リハビリ含め)が少ない場合は、軽傷な事案であったと判断されてしまいます。


よくある質問

むちうちの治療でブロック注射をしてもらわないと後遺障害は認定されないのか?
治療内容として、ブロック注射(トリガーポイント注射、星状神経節ブロック、神経根ブロックなど)をしてもらうことと、後遺障害の認定には直接関係はありません。

ブロック注射をしても認定されない被害者もいれば、ブロック注射をしなくても認定される被害者もおります。


むちうちの症状固定時期はいつ頃が良いのか?

症状固定とは、残存する症状に対してこれ以上治療を継続しても、劇的な回復が見込めず、また大きな憎悪に至ることもないと判断される状態のことを指します。

むちうちの場合、病院に行った直後は症状が楽になっていても、少し時間が経つと病院に行く前の症状が出てきてしまうというような一進一退の状態が継続している状況です。

症状固定イメージ図


交通事故では損害賠償としての治療期間を区切るために「症状固定日」を決めて、残存する症状は後遺障害として自賠責保険に申請し、等級が認定された場合は後遺障害部分として相手方に請求が可能になります。

この症状固定時期に明確な基準はありませんが、いわゆるむちうち損傷の場合、事故から6ヵ月~10ヵ月程度の治療期間で症状固定となる場合が多いようです(症状固定までの治療期間の長さと後遺障害の認定には直接の関係はありません。

症状固定までの期間が1年以上あっても非該当の被害者もいれば、症状固定までの期間が5ヵ月で認定されることもあるということです)。


注意!
症状固定の時期に明確な基準はありませんが、治療期間が長い場合、状況によっては保険会社の反論にあい損害賠償上の治療費などは一定期間で区切られることがあります。

判例 症状固定までの期間が短縮されてしまった事例

治療を長期に継続したが、一部の治療期間が否定された判例

頚椎捻挫・腰椎捻挫により頚部の違和感と左指のしびれを主訴とする被害者(男性・会社員)の事故後約1年2ヵ月の治療について、基本的症状に変化がないこと、他覚所見がないこと、当初の全治見込みが7日間とされていたことなどから事故後約8ヵ月後までを治療期間と認めた。東京地判平成18年7月14日(公民39巻4号959頁)


参考:症状固定とは




2.医師の所見で非該当

診断書を作成する医師が、症状に関して軽傷(もう治っている、短期間で治っていくだろう)と診断した場合は当然、後遺障害としての認定は難しいです。



3.整骨院等への通院で非該当

医師のいる病院で行うものは「治療」と呼ばれますが、整骨院の行うものは「治療」ではなく医業類似行為(代替医療)の「施術」と呼ばれ、損害賠償の実務上(後遺障害認定審査含めて)重要視されません。

またそれ以外でも整骨院等への通院は損害賠償上いろいろと不利になることが多く、知らずに整骨院等を利用していた被害者は最後に後悔することが非常に多いです。

その他の代替医療の例
鍼灸、あん摩マッサージ、カイロプラクティック、指圧等



4.最後に残った症状の程度で非該当


後遺障害認定のためには、4つの要件というものがあります。

1 症状固定時に残存する症状が交通事故との間に相当因果関係があること 
2 将来においても回復困難と見込まれる、精神的または身体的な、き損状態であること 
3 症状の存在が医学的に認められること 
4 労働能力の喪失を伴うものであること 


4要件の2番を見ると、「将来においても回復困難と見込まれる」とあります。調査事務所にとって症状固定時に残存している症状が、将来においても回復困難と見込まれなければ認定されないということです。

例えば表現として、肩こり、首がこっている、首周辺の違和感、首が張ったような感じ等の症状の記載では、将来においても回復困難と見込まれる症状とは捉えられないでしょう。

また、後遺障害は常時生じている疼痛等を対象としており、「天気の良い日は大丈夫だが、雨天時に症状が出る」「疲れてくると症状が出てくる」というような、常にあるわけではない症状と判断されてしまった場合には認定されません。

なお、しびれの有り・無しについては、それだけの要素では14級の認定には関係ありません。

自覚症状でしびれが有っても認定されない被害者もいれば、しびれが無くても認定される被害者もいるということです。また、傷病名に外傷性という記載が有る、無いなども認定とは直接関係はありません。



5.症状経過で非該当

むちうちの後遺障害審査において、最も重要なポイントの一つが「症状の経過と一貫性」となります。上記の様に神経症状の14級の考え方は、症状が単なる故意の誇張でないと医学的に説明(推定)できるものです。

審査は医学的に考えられる範囲(プラス自賠責の独自ルール)で行うため、例えば事故から時間が経過してから訴え始めた症状は、それが事実だとしても因果関係を否定されますし、書類上一度治癒したものが再度悪化したような場合や、症状が日によって変わっていった場合等も認定は難しくなります。

この「書類上」というところが、認定を難しくしている問題点の一つでもあり、被害者が一度も良くなっているとは言っていないのに、勝手にカルテなどの「書類上」症状が良くなっていると扱われていることも非常に多いのです(特に頑固な医師の場合や、整骨院は全般的に非常に多いです)。



6.検査所見から症状が推定できず非該当

神経学的検査等で異常(陽性)がある場合でも、被害者がその所見からは推定できないような症状を訴える場合などは、かえって医学的な説明がつかず、非該当と判断されることがあります。


参考:首や腰の神経支配領域の例

参考:非該当(認定されなかった)の後遺障害診断書



7.事故状況、既往症等で非該当

事故状況も審査の対象とされます。事故の発生状況から被害者の訴えている症状が発生する可能性があるのか否か、上記の4要件でいうと1番目の問題となります。

例えばむちうちの場合、車両の損傷が軽微な場合などは厳しく審査されるようです。また、過去に同部位による認定を受けている場合(加重)や、事故以前からの既往症がある場合、さらには被害者の事故履歴から自賠責保険の支払いが否定されることもあります。



8.複数の病院等への通院で非該当

転院が必要以上に多い場合も非該当になるリスクが高まります。調査事務所からすれば、何故むちうちの治療に複数の病院に通院しなければいけなかったのかを疑問に思うはずです。

むちうちの被害者が転院をする理由の一つとして、病院の先生が症状を認めてくれなかったからという場合があります。

病院を変えて転院先で後遺障害申請をしても、過去の病院の先生がもう治っていると判断していた場合などは、認定が難しくなる場合があります。



9.後遺障害診断書の記載不備で非該当

医師の仕事は傷病の治療であり、損害賠償請求の資料作成ではありません。医師は(当然なのですが)交通事故の診断書等にはあまり関心がない場合が多く等級認定の為に重要な検査や記載をせずに、後遺障害診断書を作成することも多いです。



10.保険会社に申請を任せて非該当

後遺障害の申請を、相手保険会社に任せる事前認定では様々な問題が起こる場合があります。保険会社というのは営利企業ですので、支出となる保険金の大幅な増大につながる後遺障害の認定は、出来れば避けたいと考えています。

つまり被害者と保険会社の利害関係は一致していませんので、資料に不備が出る可能性は高くなります。



11.調査事務所の判断で非該当

被害者がどんなに困っていても、主治医が症状をどんなに認めてくれていても、認定の審査をするのは損害保険料率算出機構の自賠責調査事務所です。

この調査事務所の審査が厳しく、力が大きすぎる面があり、主治医の先生が症状を認めて診断書を作成したつもりでも、医師の記載を無視して非該当の回答をしてくることもあります。

非該当だった方は多くの場合、上記1~10のどこかの条件に引っかかっていることが多いですが被害者が条件を全てクリアしていると思っていても、何らかの資料で症状被害者が症状を誇張している(医学的推定が及ばない)と判断されてしまえば、認定されないこともあります。




むちうちの後遺症認定方法…結局、どうすれば?

上記のむちうちの非該当事例の注意点を踏むことなく、適正な検査をして後遺障害の申請ができれば頚椎捻挫、腰椎捻挫等のいわゆるむちうちで自覚症状のみの被害者の方でも、14級が認定される可能性は高くなります。

非該当の注意点から逆算した認定確率を高めるポイントは下記の10項目です。


1.整骨院等の代替医療ではなく、リハビリ施設のある整形外科等の医師のいる病院へ継続的に通院する

上記のとおりです。(詳しくは上記むちうちの非該当事例



2.病院の先生や相手保険会社との関係はできるだけ良好にする

医師も保険会社の担当者も人間です。被害者が常識のない行動をすれば対応は悪くなります。余計な摩擦が生じると、簡単な話も難しくなってしまいます。



3.医学的に推定できないような、広範な身体部位の症状を訴えない

上記のとおり14級の条件は、症状が単なる故意の誇張でないと医学的に説明(推定)できるものです。

参考:首や腰の神経支配領域の例

参考:非該当(認定されなかった)の後遺障害診断書



4.症状が治らないうちは、カルテなど書類の記載に注意する

被害者の知らない(訴えていないのに)ところで「書類上」症状が良くなっていると扱われていることも多いです。

また、交通事故で受傷した場合、医師にはなるべく早い段階で症状の全てを伝える必要があります。

むちうち損傷の場合、これは私も経験があるのですが、受傷直後の症状はそんなに強く現れない場合もあります。

受傷から数時間~数日を経過したときに症状が強く現れてくることも多いようです。そのように遅れて新しい症状が現れた場合でも、なるべく早く主治医の先生に伝えなければいけません。

なぜ「なるべく早くなのか?」ですが、わざわざ医師に伝えるほどでもないと思っていた症状が後遺症として残った場合、自賠責調査事務所には事故との因果関係を否定されるからです。

症状にもよりますが、事故当初から訴えていない(カルテに無い)症状は、事故から1週間も空けば因果関係が認められないこともあります。因果関係を否定された場合は、例えそれが交通事故による症状でも、後遺障害の要素として認められません。

※広範な症状を訴えることにより、逆に医学的説明がつかなくなる場合は認定されなくなるので注意が必要です。



5.MRI所見は経年性のものでも重要です

MRI画像が等級認定に直結することは少ないのですが、症状の原因の推定材料となる場合が多々ありますので画像は非常に大切です。



6.神経学的検査に意思を介在させない

神経学的検査の中には被害者の意思で異常(陽性)とできてしまうものもありますが、整合性がない異常所見はむしろ認定を遠ざけますので、異常(陽性)所見をとるために行動するのは倫理の面だけではなく、結局ご自身が損をすることになります。

症状が医学的に説明(推定)できることが14級の条件です(首や腰の神経支配領域の例)。



7.後遺障害診断書をしっかりと作成していただく



小さくて見づらいですが自賠責保険の後遺障害診断書です。実物はA3サイズとなります。むちうちで記載いただく箇所はA~Z欄となります (後遺障害診断書ダウンロード)。

A欄
被害者氏名・性別・生年月日・事故発生日・ご職業を記載していただきます。

B欄
受傷日時・症状固定日・入院期間・通院期間・実通院日数を記載していただきます。

入通院期間や通院日数は、後遺障害診断書を作成した病院のものとなりますが、他の病院にも通っていた場合でも問題ありません。

なお、症状固定日等に記載漏れがあると自賠責から書類が返却されてくることがあります。

C欄
傷病名を記載いただきます。むちうちの場合、様々な呼称があります。
(傷病名に外傷性という記載があるかどうかは認定とは直接関係ありません)

D欄
今回の事故以前に障害があった場合のみ、記載していただくところです。

既存障害といい、事故以前に障害があった場合、現在の症状と事故との因果関係が問題になったり加重という扱いになったり、既存の障害ということで支払いが無い場合があります。

E欄
自覚症状を記載いただく欄です。

他覚所見が無いむちうちの場合、この欄に細かく支障を記載していただいたり、被害者自身が別紙に作文するようなことはおすすめできません(医学的な推定が及ばないことを伝えようとしてしまう場合があるからです)。

F欄
レントゲン、MRI等の画像所見、神経学的所見等の検査所見を記載していただきます。

頚部症状は、スパーリングテスト・ジャクソンテスト、腰部症状は、ラセーグテスト・FNSテスト・共通して徒手筋力テスト(MMT)、知覚テスト、腱反射テスト、これら以外の検査は症状により検討する必要があります。

また、できれば検査結果だけではなく、治療経過や症状経過等についても記載していただくと良いでしょう。

G欄
頚椎部・胸腰椎部の関節可動域を記載していただく欄です。

むちうちの場合、可動域制限は自賠責では後遺障害としては認定されません。労災では参考にされることがあります。

Z欄
今後の症状の見通しについて記載していただく欄です。ここが空欄のままの診断書が多いですので注意が必要です。

ある医師の話によると本来、後遺障害診断書を作成している時点で、今後症状が残存することを認めているため、わざわざ記載したくないのだそうです。




8.後遺障害の申請は保険会社に任せない。

後遺障害の申請を、相手保険会社に任せる事前認定では様々な問題が起こる場合がありますので申請は被害者請求をお勧めします



参考:被害者請求とは



参考:被害者請求の方法



9.後遺障害の申請時に日常生活の支障等を作文しない

日常生活の支障の作文等は良し悪しなのですが、被害者独自の判断(視点)で症状を作文をすることはおすすめできません。

外傷性の症状とは関係のないことを書いてしまうことが多いからです。文章中の表現等から「医学的所見からは推定できないような、広範な身体部位の症状を訴えている」と捉えられてしまうと非該当とされる可能性があります。



10.あきらめないことも重要

上記の非該当事例にあてはまってしまい、非該当となってしまったような場合でも、納得できない場合はあきらめないことが重要です。

前回の審査では、ほんのわずかな差で非該当になってしまったという可能性も十分にあるからです。

完全な非該当ともいえないが、認定させるだけの資料もないような場合、非該当とするのが現在の自賠責保険の後遺障害制度です。

最初の申請で非該当事例にあてはまっていても、様々な条件によっては再申請(異議申立)すれば認定は十分に可能な場合もありますので、納得できない場合は絶対にあきらめてはいけません(例えば整骨院の回数が多くて認定されなかったような場合でも資料を揃えて再申請すれば認定されることもあるということです)。

※異議申立は初回の結論、初回の申請資料ありきで再審査をされます。そのためできるだけ早い段階でのご相談を推奨しております。

まずはお電話・メールからお気軽にご相談ください。






むちうちに関連するページ
  

むちうちの後遺症認定方法 


12級・14級・非該当の後遺障害診断書・実例 


非該当の後遺障害診断書(後日異議申立で認定)


むちうちの定義・分類・周辺疾患 


むちうちの症状(急性期・慢性期)と治療 


頚部解剖図






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