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交通事故後遺症等級認定

会社役員の後遺症逸失利益 基礎収入


自賠責保険から後遺障害の等級が認定された場合、認定された等級に応じて労働能力の減少による将来の収入の減少分を「逸失利益」として請求することができます。

会社役員の休業損害と同じく、裁判所基準(弁護士会基準)の他に自賠責保険基準と任意保険基準がありますが、自賠責保険の逸失利益は通常後遺障害保険金内に含まれており、任意保険会社の逸失利益は「労働能力喪失期間」を短く抑えて、ライプニッツ係数をできるだけ小さくしようとするだけですので裁判所基準(弁護士会基準)のみを掲載しています。



裁判所基準

会社役員の報酬については、労務提供の対価部分では認容されるが、利益配当の実質をもつ部分は消極的であるとされています。

実際にどれだけ売上等、会社の利益に貢献していたかの立証が問題になります。



<判例>

大工や現場仕事が出来なくなり、外注費が増大した場合

役員報酬全額を認める場合があります。

工務店の代表取締役(男・固定時52歳)の右ひざ痛、右ひざ屈曲困難及び跛行(10級11号)について、従業員はパートタイムの事務員1人だけで、営業より大工仕事や現場監督などの仕事が主なものであり、被害者がこれらの仕事をすることができなくなったことによって工務店の外注費が増大したことから、事故前の役員報酬1,080万円全額を基礎としました(東京地八王子支判平16.3.25)。




判例

従業員がおらず、全ての業務を行っていた場合

役員報酬全額を認める場合があります。

土木工事の施工管理会社役員(男・固定時39歳)の左ひざ動揺関節(8級7号)について、会社は被害者とその妻のみで他に従業員はおらず、実質的に被害者が全ての業務を行っていたこと、被害者自ら施工管理業務を遂行し、外注している技術者にも助言・指導を行っていたことなどから、月額100万円の役員報酬全額を労務提供部分としました(大阪地判平18.7.10)。




判例

中心的研究者であった場合

役員報酬全額を認める場合があります。

レーザー機器の研究開発会社代表者(男・固定時41歳)の頚部痛(14級)について、
経営者であると同時に中心的研究者であったことや、従業員が41名、年商が8億円という会社の規模・年商額等を考慮した結果、事故前年の役員報酬約1174万円全額を労働の対価部分と認めました(東京地判平23.3.24)。




判例

事故後休職中は給与の支払いを受けず復職後も給与が減額されている場合

給与の減額と会社の利益を相対的に参考にする場合があります。

鳶工事業の有限会社経営兼鳶職人(男・固定時38歳)の右ひざ動揺関節、右股関節機能障害(併合9級)について同族会社であり、被害者は職人の差配、現場監督の他、鳶として現場作業にも従事し、事故後休職中は給与の支払いを受けず復職後も給与が780万円に減額されていること、他方で会社の売上、営業利益及び当期利益は事故前と事故後で大差のないことなどから、事故時の給与年額1,128万円の65%を労働対価部分とし、労働能力喪失率を40%としました(東京地判平18.5.26)。





判例

高度の専門性を要する場合

会社の売上の減少を参考にする場合があります。

ITコンサルタント会社代表(男・固定時42歳)の左足関節拘縮に伴う左足関節の機能障害及び左足外傷性壊疽に伴う左足指の欠損障害(6級)について、高度の専門性、経験、知識等を要求されるITコンサルタントとしての労務を提供していたが事故後は歩行困難により顧客企業に出向いてのシステムの導入、サポート等の機動的な業務遂行や機敏な対応が不可能となった結果、会社の売上が相当減少しているとして、事故前の年収3,720万円の80%を労務対価部分と認めました(横浜地判平20.8.28)。





判例

事業が極めて不確かな場合

事故前数年間の年収を参考することがあります。

会社代表取締役(男・固定時59歳)について、事業が極めて不確かであるとして事故年の申告所得額を基礎とする主張を排訴したが、事故前数年間にわたり賃セ男性大卒平均をはるかに上回る年収を得ていたことから、67歳までの8年間につき1,000万円を基礎としました(横浜地判平6.2.21)。





事業所得者の休業損害



交通事故慰謝料(交通事故の3つの基準)



交通事故から後遺症認定、示談解決まで(ポイントチェック)












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